今週に入って、また雪が舞った。
朝のうちは特に頻繁に雪が降るが、午後になると止んでしまう。その繰り返しで気温も低い。
そんな時は、Kesselfleisch を思い出す。
冬場に食べるドイツ料理だ。
豚肉のあらゆる部位(主に腹肉や頭部、たまに内臓も)をスープの出汁用の野菜とコトコト2時間かけて煮込み、それにザワークラウトと塩茹でしたじゃがいもを添えて食べる。
生玉ねぎや摩り下ろしたホースラデイッシュ、もしくはマスタードがあれば、塩胡椒と一緒に必ずテーブルの上に置いておく。各自で味の調整をしながら頂くのだ。
街外れの小さなレストランでは、寒い時期の隔週の水曜の夜しか食べられなかった。ある日、食べに行った帰り、夫の携帯に電話が鳴った。高齢の義父が家の中で転倒してしまい、そのまま病院に運ばれたのだ。何度も入退院を繰り返し、結局、その年の初夏に帰らぬ人となってしまった。
もう10年以上も前の話だ。
他の思い出といえば、夫が日本に留学していた時に知り合ったドイツが大好きな日本人の知人がやって来たので、ドイツの伝統料理を振る舞おうと、当時よく食べに行っていた食堂にお願いして作ってもらった。
至ってシンプルな料理ではあるが、時差ぼけで体調が万全でない時に脂ぎった豚肉を食べるのは結構きついものがある。心配していたが、余程旅馴れているのだろう、美味しそうに平らげていた。寧ろ私の方が、気疲れと育児疲れで胃が悪かったのを覚えている。
その食堂も、主人が代わり、出す物が変わってしまった。
夫も転職をして、もう足を運ぶ事もなくなった。
今はコロナで食堂は閉じたままである。
いつかの週末の散歩中にその食堂の前を通った時、また食べてみたくなった。
夫も同じだったようで、週明けに近所の肉屋にお願いして調理してもらった。
肉以外はこちらで用意した。
なかなか美味だった。