この本は愛に溢れている。
発達障害特有の困り事を客観的に捉え、どのように解決していくかのプロセスが書かれている。
著者はアメリカで医師をしており、ある講演がきっかけで自分にも発達障害の傾向があると気付いた時、とても感動し興奮したそうだ。
自分の特性にも名前があったなんて!
それから関連書物を読み漁り、仕事柄、沢山の発達障害者を診断してきた。
それら多くの事例と解決の糸口を書いている。
患者を取り巻く家族の反応も書いているのが興味深い。
ともすれば、ネガテイブになりがちな特性であっても、『贈り物』と称すのは流石である。多くの偉人もまたそういった特性を持っていたのだろうと推測する事は、当事者にとっては大きな励みとなるようだ。
著者自身が発達障害者という事もあってか、内容に説得力がある。
どういったところで困ってしまうのか、また男性と女性では出る傾向の違い、見過ごされがちなケースなんかも書き表している。
興味深いのは、著者が発達障害者のグループセラピーをした時のくだりだ。
遅刻したり忘れたりする特性がある中、彼等は2回目以降は時間厳守の問題が全くなかったという。そしてそれぞれの問題を出し合い、共感し笑い合う。
きっとこのセラピーは、彼等にとって憩いの場になっていたに違いない。
本の後半には治療に対する様々な疑問に回答していて、あれこれ悩んでいる人やその家族には参考になりやすいと思う。