娘がまだ赤児の時、初めて贈られた小さなぬいぐるみがある。
ピンク色の兎とひよこ、そして羊だった。
ある時、娘の小さな手に羊を持たせて買い物に行った途中に、ぬいぐるみがなくなっている事に気がついた。
きっと何処かに落としてしまったのだろう。
それであちこち探し回って、結局何処にもなくて諦めた。
1ヶ月後、久々に入ったスーパーマーケットの肉屋コーナーに、娘の羊のぬいぐるみが置かれてあった。
店員に尋ねると、丁度1ヶ月前に誰かが落としたみたいで、ここに置いておけば、きっと持ち主が現れるのではないかと思ったのだという。娘の手に再び、ぬいぐるみの羊が戻ってきて、とても嬉しかったのを覚えている。
元来、自分は玩具やぬいぐるみに執着しないし、ある程度探しても見つからなかったら、諦めてしまうけれど、実際、そうやって探したけど、結局見つからなかったものも多々あるが、子供や夫の探し物となると話は別である。
見つけてあげたいし、それが無理なら、同じようなものを買おうとも思う。
そういう事が、つい最近もあった。
現在、倅はレゴブロックを使って編集動画を制作しているが、その為に、スパイダーマンのレゴのフィギアを使いたいのに見つからないという。
それは少し前に夫と買い物に行って、買ってもらった雑誌の付録だった。
それで散々2人で探した。
娘も手伝ってくれたが、結局見つからなかった。
最後に見たのは、友達と遊んだ時だそうで、まさかその友達がこっそり持ち帰っていないよね、、と疑いたくもないのだが、倅の交友関係に於いて、首を傾げる事が多かったので、見つかっていない今も少々モヤモヤしている。
確証が持てないのに疑うのも嫌だから、翌日にスーパーに行って、スパイダーマンのレゴフィギアが付録になっている雑誌を探した。
大手スーパーで夫に買ってもらったようだが、そこにはなく、小さなLOTTOの店に福袋みたいに開けてからのお楽しみ的な感じで、雑誌2冊とレゴフィギアが入っている物にスパイダーマンの写真があったので、希望を託して買ってみた。
学校から帰った倅に見せると、喜んで開けていたが、残念ながら、別のヒーローフィギアだった。
「ごめん、写真がついていたから、てっきりあると思っていたのだけど」
「大丈夫だよ。僕、このフィギアも欲しかったから」
と言って、早速、そのフィギアで編集動画の制作をした。
それでも心残りには変わりなく。
折を見て、レゴのケースの中を探してみるものの、やっぱり見つからない。
きっと探している時は見つからないのだろう。その内、ひょっこりと見つかるかもしれない。
それとも縁がなかったのかなと思って諦めていた。
今日、夫と買い物に出た倅は、偶然レゴのスパイダーマンの雑誌を見つけたらしい。
そこには探していたフィギアがあり、倅は夫にお願いして、それを買ってもらったようだった。
結局、探している物はまだ見つかってはいないのだけれど、それでも諦めずにいたら、時には別の場所から手に入る事もあるんだなあと思った。