ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

ランドセルにまつわる話。

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私が住んでいるドイツのバイエルン州では、今年は9月14日に新年度を迎える。

日本とは異なる9月入学7月卒業だ。

 

それに合わせて、子供達は年始から4月くらいにかけてランドセルを買い求める。

 

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購入時にランドセル自体の重さも考慮に入れるようにする。

 

元々、日本のランドセルは、幕末に入ってきたオランダ軍だかの背嚢(背負い鞄)が起源となっており、オランダ語の「ransel」の日本語読みで「ランドセル」としたんだよね。
今では可愛いデザインや色で大人心をもくすぐる日本のランドセルだが、基本形は昔と余り変わっていない。

 

実母が子供達の為に、日本からランドセルを送ってくれたのを思い出す。

娘のランドセルは光沢の入ったピンク色で、ハートのアクセサリーが入っていた。

ドイツのランドセルの一部分が破損してしまい(信じられない!)、修復に1週間を要するというので、入学早々、娘は日本のランドセルで通った。

 

心配だったのは、学校で使われるノートのサイズが違うので、ランドセルに入るかどうかという点だったが、杞憂に終わった。(因みに日本のランドセルは、ドイツで好印象を受けました。)

 

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左: 日本のサイズ

右: ドイツのサイズ

 

しかし他の問題が出てきた。

娘のランドセルには、入学祝いとして、夜道でも安全なホルダーがあり、それをランドセルのサイドに付けていた。それが、登校した僅かな時間になくなっていたのだ。

当時、夫が娘と登校をしていたのだが、流石にこれには驚き、周辺を探してみたものの見つからない。学校にも連絡をしてみたが、落とし物ボックスにも入っていなかった。

信じ難いが同級生に手癖の悪い子供がいて、恐らく、その子供が隙を見て、盗んだのではないかと夫は疑っていた。

無闇に疑いたくはないが、実際、娘が在学中に、娘以外の子供も、キーホルダーやアクセサリー、はたまた付属品の盗難が頻繁にあったのを見ると、犯人の特定はできないものの、素行に関しては、余り良いクラスではなかったように思う。

当然、名前を書いたり、貴重品となる物は持って行かない等の対処はするものの、スルリと抜け落ちた所に、こういう被害に遭ってしまうのだ。

 

ドイツのランドセルは、基本的に小学校4年生までしか使用されない。

子供によっては、ランドセルなんて子供っぽくて嫌だと、小学校3年生くらいから普通のリュックサックに切り替えたりする。なんとも勿体ない。。。

親や祖父母がプレゼントしてくれた物なんだから、せめて小学校卒業する迄は使って欲しいものだ。

 

娘がギムナジウムに入学した時のことだ。

夫なんかは、小学校のランドセルで充分だという考えではあったが、私は反対した。

高等中学校であるギムナジウムに入学したのだから、小学校のランドセルで通わせるわけには行かないと思ったからだ。そんな子供など見た事がない。

いわば、日本の中学生が鞄ではなく、小学校時代のランドセルで通うようなものだ。

しかし頑固な夫は私の話など聞き入れてくれなかった。

 

それで入学式を夫に行かせた。

すると100人くらいいる新入生の中で、娘ともう1人、別のクラスの男子のみが、小学校時代のランドセルだと分かり(ほーら、言わんこっちゃない)、式後に即効で娘と2人で、高学年でよく使用されているランドセルとリュックサックの中間のような物を買いに走っていた。

 

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横から見るとこんな感じ

 

倅は現在、日本語補習校では小4だ。

国語の教科書に載っている内堀タケシさんが書いた『ランドセルは海をこえて』という本を、一緒に読んだ。

 

 

古いランドセルを、紛争で学校に行けないアフガニスタンの子供達に、文房具品と一緒に寄付を続ける活動を行なっている話だ。

こういう寄付もあるんだなあと驚いた。

 

軍隊で使っていた背嚢が転じて、子供達の未来に紡ぐランドセルになった。

 

古いランドセルには思い出が、新しいランドセルには希望が詰まっている。