巷でよく耳にする断捨離やらミニマリストには程遠い生活を送っている我が家だが、夫は特に物を大事にしすぎる傾向がある。
着れなくなってしまった服や使わなくなってしまった玩具、壊れてしまった大きな家具も、我が家に点在している。
ちっとも読まない雑誌も埃を被って積まれている。
大抵が、
「いつか時間ができた時に、読むから」
とか
「いつか痩せた時に着るから」
とか、そんなものばかりで、ちっとも現実に伴っていない。
もう使わなくなった服や玩具はフリーマーケットに持って行き、雑誌や新聞紙は、内緒で少しずつ処分する。幾ら買うなと言っても、買ってくるのだから(読まないのに)仕方がない。
また夫も私も本が好きで、家の本棚も溢れ返っている。
子供も本が好きだから、そんな子供の為に、夫はせっせと本や雑誌を買ってくる。
私は帰国中に本を買うが、大量には買わない。厳選して吟味して、ドイツに持って帰っても繰り返し読むと決めたら買うようにしている。
私の中で、ドイツは物を大事にする国という印象が強いのは、教科書は学校からの借り物だからだ。これはどうやら旧東ドイツはそうではなかったようだ。
という事は、旧西ドイツからの風習であろうか。
娘が小学校に入学する前に本やネットで事前に調べて、学校の教科書は借り物となるので、一年後には学校に返さなければならない。もし破損などあろうものなら、弁償せねばならないという情報を仕入れて夫に話すと鼻で笑われてしまった。
「そんなふざけた事がある筈がない」
いざ入学して現実を見ると、夫は閉口してしまった。
1年後、教科書を返した際に、娘が使った本を次に使う予定の子供の親が念入りにチェックしたようで、全額弁償をさせられてしまった。
「他にも男子が2名ほど何割か弁償をしたが、全額弁償は娘さんのみでした」
と担任に言われ、顔が赤くなったのを覚えている。
とにかく、物を大事にする国だと痛感させられた。
日本は教科書を頂くようになるので、自分でマークしたり読み仮名を振ったりと、自由に使えるのがありがたい。因みに日本の教科書はランドセルに入れて屋根裏に保管している。
さて物を大事にするのが大好きな夫は、連絡帳や子供のノート類も全て保管しておきたいらしい。特に連絡帳に至っては、最重要項目らしく、口酸っぱく言われ、正直うんざりしている。
子供の作品は一番良い物だけを取っておくようにしているので、私の中では連絡帳保管はそれ程重要事項ではないのだ。
最近、本棚の整理をしていた娘が、昨年度の連絡帳を見つけたらしく、見せてくれた。
ものの見事に落書きで埋まっていた。
娘はそれを『芸術』と称しているが、申し訳ないが、私にはどう見てもただの落書きにしか見えない。
娘が独り立ちする暁には、是非とも『ゲージツ品』達を一緒に持っていってもらいたいものだ。