ドイツ在住の子供達は小4になると、親は学校から進路説明会の通知をもらい、指定された日時に小学校に向かう事になる。説明会は9月下旬か10月あたりにある。
小学校には、中学校から1名、レアルシューレ(実科学校)から1名、ギムナジウム(大学進学を前提とした中等教育機関)から1名の各学校の関係者がやって来て、それぞれ学校の特色を紹介する。
大抵、中学校は小学校と隣接しているが、レアルシューレやギムナジウムは街中、もしくは最寄りの学校から説明会に来るようになる。
小4では1年間で国語、算数、生活の3教科を対象として、全部で22回の進路の為の試験を行うようになる。(倅の小学校では)
因みに、宗教、体育、音楽、図工にも試験はあるが、進路には関係ない。だからといって、余り疎かにするわけにはいかない。
そのうちの進路で最重要とされる、国語(ドイツ語)、算数、生活(社会)の3教科は18回の筆記試験を行う。(国語10回、算数4回、生活4回)
それ以外にも、研究発表、詩の暗唱、書き取り、聞き取りがあり、それ等も点数に加算される。それで全22回の進路試験という事になる。
そしてこれ等の平均点で来年度の進路が決まってくるのである。
1月にもらう中間報告書まで、子供達はひたすら試験三昧の生活を送るようになる。
毎週必ず1教科は試験があり、それ以外にもちょくちょく何かしらあるので、全く気が抜けない。
今年度は1月20日に、中間報告書なるものが学校から子供達に手渡された。
その成績を見て親子で一喜一憂するのだが、そこでもぬか喜びはできない。
後半にも試験がまだ残っているからだ。
2月から3月中に、希望する学校のオープンデーが入ってくる。
夕方から20時くらいまでで、親とは別行動でグループで移動する。(倅が希望する学校では)
子供を引率者に任せて、親は学校の説明を聞くようになる。
最終的にはっきりと成績が分かるのは、今年度は5月2日。
この成績と1月にもらった中間報告書を持って、自分が行ける学校に進学を申請するのだ。
申請期間はかなり切羽詰まっているが、指定された日に、必要書類を持って親と子供とで学校に行く。
さて1月の中間報告書では、倅は希望する学校に行けれる成績だった。
安堵したのも束の間、次の国語のテストでは、白目をむくほどの成績で卒倒しそうになった。
それでとにかく全てのミスを犯さないように気をつけて、と言っても国語はなかなかそういうわけにもいかないが、あらゆる可能性を想定しながら次回のテストに臨んだ。
面談が年に2〜3回あり、最終面談は、国語の成績が悪くなった後だった。
夫的には「もう駄目に違いない」と半ば諦めモードだったが、私は他の成績が良いのだから、諦めるのは早いのではないかと思っていた。
担任からも、そのように言ってもらえ、だったら、まだチャンスがあるのではないか。あともう少しあるテストを一つ一つ丁寧にこなしていくようにしていった。
倅が苦手とする創作文を書くテストでも、最後まで集中して書けれたようだ。好成績を収めた。
仲良しのL君から
「君は運が良い。だからテストで良い成績なんだ」
と言われたらしいが、目標に向かって、自分を信じ、ひたすら努力したからに違いないのだ。その結果、運が彼の方に向いてきたのかもしれない。
はっきり言って、小学校中学年から進路についてアレコレ悩みながら勉強するドイツの教育システムは、如何なものかと思う。
特に男子は女子より成長が遅いので、余計に不利に感じる。(実際はそうとばかりは言い切れなかったが)
実際、私と似たような意見を持つ親は少なくない。しかし不満を持っていても、結局は、この波に乗って、皆それぞれに家庭勉強をして試験をこなしている。
子供とは何度も進路について話し合った。
しかし、気持ちを変えずに、自分の希望する学校への入学を勝ち取った。
倅はこの9月から姉と同じギムナジウムに通う事になる。
ギムナジウムに行ったからといって、全てが順調になるわけではない。
最高の成績を取って入学しても、その1年後には去っていく者、またその逆に、ギリギリの成績で入学しても、落第も留年もせずに、着実に進級している子供もいる。入ってみてからでないと、分からないのだ。
ギムナジウム行きの切符を手にしたと分かった時、倅は静かに喜んでいた。
もっと大はしゃぎするかなと思っていたけれど、1人で喜びを噛み締めていた。
これでやっとスタート地点だ。
これからどんな学生生活が待っているか分からないけれど、願わくば、倅にとって実りある9年間でありますように。。
◆◆◆おまけ◆◆◆
アナベルの葉が茂ってきた。
白の大輪の花を沢山咲かせてくれますように。