プフィングステン休暇直前、娘は日本の某武術の試験に合格した。
娘はその道場に7歳から通っている。
始めは、親友と一緒に通っていたが、その内、内輪揉めやら経営難やらで、道場そのものが閉鎖されてしまった。
それでも子供達のコースを担当していた現在の先生は、どうしても継続したいという意思があり、道場を再び開けれるよう場所を探した。
それで隣の地域の市営スポーツ団体に加盟して、再出発を果たした。
丁度その頃は、娘の進路問題があり、毎週1〜2回は進路に関わる試験をこなさなければならず、それこそ道場通いどころではなかった。
やっと進路が決まり、道場通いを再開したが、娘の親友はやる気を失くしていたし、娘もそこまで熱心ではなかった。
ある時、親友と某武術の試験を受けた際に、なんとかギリギリ合格したというのが、親友の母親の気に触ったらしい。それで先生に対して文句を言っていた。
それだったら、わざわざお金を払ってまで、受験させなくても良かったのではないか。
更には、合格出来なかった者もいるとは如何なものか云々。
個人的には、受かる試験であっても,受験者がちゃんとしなかったり、もしくは実力が充分発揮できなければ、落ちる事だってあると思うのだが、、、違うのだろうか?
先生だって、別に落としたくて落としてるわけではなかろうに。
試験官としての役割を果たしたまでだと思うのだが。。。
落ちたのなら、もっと精進して再挑戦すれば良いだけの事ではないのか。
私とは考え方が違うのだろう。
結局、彼女は退会してしまった。
暫くして、コロナのパンデミックが起こり、道場はまたしても閉鎖に追いやられる。
倅は同じ武術ではあるが、諸事情あり、別の道場に通っていたが、彼の道場も長らくは閉鎖されていて、こちらはもっと酷かった。
親はお金だけ払って、稽古も何もされなかった。
私営となるから仕方ないよと夫は言っていたが、個人的には腑に落ちなかった。
稽古ができなくても、何か他にやれたのではないかと思うからだ。
娘の方は、閉鎖されても、先生がなんとか工夫をして、子供達を連れ出し、自転車でサイクリングをしたり、近くの球技場の一角で体力作りをしていた。
因みにお金は市営のスポーツ団体だから、その時は支払いがなかったように思う。もしくは、あっても半額とか、そんな感じだった。
私の友達が通う道場は、オンラインで講義をしてくれたらしい。
とにかく、ここで『先生』の本気が見れた気がする。
その後、私達の引っ越しがあり、偶然、娘の通う道場が倅の学校の体育館でやっていると分かり、倅もこちらに移る事にした。
さて娘に話を戻すと、彼女にとっては、この武術、そしてこの道場が非常に合っていたようだ。
先日、バイエルン中にある他の道場との合同合宿に行った際に、いかに自分の先生が真面目に基礎練習を取り組み、日本の某武術に対するリスペクトがあるのかを実感したらしい。
それ程、娘達の道場から来た子供達は優秀だったようだ。
但し、ヤンチャ過ぎて、手に負えない子供もいて、これは先生から後でたっぷり叱られてしまったらしいが(^_^;)
でもようやく合宿もできるようになり、子供達も嬉しかったのではないかな。
そんな中、娘は5年ぶりに試験を受けた。
もう一生、このまま帯の色が変わらないかも。それでも別にいいやと思っていたらしいが、下からどんどん新しい子供が入ってきて、試験を受けるようになっていくし、稽古時間も充分だし、そろそろ娘も試験を受けた方が良いのではないかと言われたらしい。
というか、タイミングが悪かっただけなので、娘がまだ試験を受けていないと分かった時、先生は驚愕したらしい。
試験は安定感のある合格で、気にしていないように見えたが、新しい帯を締めて見せた娘は、やっぱり嬉しそうだった。
その喜びが自信に繋がったのだろう。
合宿に積極的に参加し、稽古にも進んで行くようになった。
そんな娘は現在、休暇を利用して、倅に稽古をつけている。
倅は残念ながら、初級を別の道場で合格していても、全くモノになっておらず、文字通り、0からやり直しとなった。
娘の稽古は先生仕込みとなるので、基礎練をたっぷりやり、基本的な型をみっちりやっている。(因みに私や夫も一緒に基礎練をやる時がある。)
その甲斐あってか、始めは泣きべそをかいていたが、最近は随分サマになってきている。
大昔、甥っ子2人がまだ小学生だった頃、空手を習っていた彼等が、私がドイツに戻る前日に関空付近のホテルにて、型を披露してくれた。
2人の空手の型は、とても格好良くてキレがあった。
子供等の練習を見ながら、思い出してしまった。
今は基本的な型の練習をしているけれど、私の子供達は、その内、組手を披露するようになるかな。
帯の色が変わる度に、貫禄が出てきて、苛められなくなるよと、私の友達が自分のお子さんの体験を元に話してくれた。
ならば倅もそれを実感するくらいになって欲しいものだ。