まだコロナがなかった頃のお話。
娘の英語の教科書にビクトリア王朝時代に起こった切り裂きジャックの話が載っていた。それで先生が
「これは何の話を指しているか分かるか」
との問いに答えれたのは、娘だけだったらしい。
他にもコナン・ドイルやシャーロック・ホームズの事も先生と話せて楽しかったそうだが、他の子供達は全く知らなかったそうで、ついてこれなかったのだそうだ。
原作者のドイルを知らなくても、名探偵ホームズくらいは知っているだろうと思っていたから、この現実に驚くばかりだが、今のドイツの子供達はそんなものなんだろうか。
娘だって『名探偵コナン』から入っていって、コナン・ドイルの探偵小説を読んだわけではないのだが、それでも切り裂きジャックについては、興味があったようで、自分で調べて相当詳しく知っている。
私の小学校時代には、学校の図書室にホームズやルパンや二十面相があった。
休み時間もそっちのけで読んでいたので、担任が心配した程だった。
中学時代、高校時代も色々な分野の本を読んだ。
当然、日本の漫画やアニメも大好きで、結婚前に一度離れはしたものの、また戻ってきて、今や子供と一緒にアニヲタ生活を満喫している。
日本のアニメや漫画の良い点は、ファンタジーや日本文化や風習だけでなく、世界の様々な史実や文化や小説等をモチーフにしている物が多く存在するところだ。
先の『名探偵コナン』にしてもそうだが、ホームズの天敵モリアーテイ教授に焦点を当てた『憂国のモリアーテイ』や、中国春秋戦国時代を舞台にした『キングダム』、王道の横山光輝の『三国志』、アルセーヌ・ルパンの孫設定の『ルパン三世』、北欧神話からインスピレーションを受けたとされる『進撃の巨人』、フランス革命を舞台にした『ベルサイユのばら』、ローマ人がタイムスリップする『テルマエロマエ』、イエスと仏陀が日本の立川で休暇を取る『聖お兄さん』、国を擬人化した『ヘタリア』なんかも発想が豊かだ。
『ガラスの仮面』は、主人公が挑む芝居の脚本は大抵古典や名作から来ているし、世界名作劇場の『赤毛のアン』や『アルプスの少女ハイジ』等は、ここドイツでも子供用のテレビチャンネルで観れる。
『憂国のモリアーテイ』に関しては、ツッコミどころ満載なのでアレだが、それでも、モリアーテイって誰? あのシャーロック・ホームズの天敵となると、原作を読んでみたくなる人も出てくるかもしれない。
知識を蓄える入り口が何であっても良いと思う。
そこから影響を受けて、文献を読み漁り、勉強をして研究をして考察して、その道のエキスパートになる人もいる。
何も歴史に限った事ではない。
あらゆる分野に入ってきている日本のサブカルはやっぱり凄いと思う。
だから、子供だけでなく、様々な年齢層や異なった興味や趣向の人にも受け入れられているのだろう。