ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

Tom und das Erdbeermarmeladebrot mit Honig

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出典: KIKA

 

 

トム・・・何故か因縁がある。

 

娘が小さい頃からずっとトムはいた。

空豆頭にトンボ眼鏡、青い三角の服。

大好物はいついかなる時もただ1つ。

 

はちみつ付きいちごジャムパン

 

2005年からドイツの子供番組で放送されて以来、2012年まで続いたアニメだ。

しかし今でも繰り返し再放送されている。

Youtubeにも動画がアップされており、人気があるのか、チャンネル登録者数も現時点で13万人以上だ。(その内の1人は娘です)

欧米や日本の強豪が名を連ねる中、ドイツのオリジナルアニメ作品として、堂々と肩を並べている。

 

たった5分。

そして毎回同じストーリーだ。

 

つまり

 

トムが友達のミュラーの所に行き、大好物のはちみつ付きいちごジャムパンがあるか尋ねる。

ミュラーは「ない」と答え、その代わり、どうやったら(どこに行けば)、はちみつ付きいちごジャムパンがもらえるのかを教えるのだ。

トムがはちみつ付きいちごジャムパンを見事に手に入れ、そしてそれを毎回半分こにして、その時登場したキャラクターと食べる。

「まるまる1個と同じくらい、半分食べるのも美味しい」

でお終いとなる。

 

はちみつ付きいちごジャムパンを手に入れるまでが、毎回違っていて、それだけで54話も制作されたようだ。

実際、こんなパン、超度級極甘ではあるが(絶対1度は試すよね)、このはちみつ付きいちごジャムパンを手に入れるだけで、そんなにエピソードがあるのかよ。

たった5分ではあるが、そこには色々なドラマがあるものだな。

 

中年男性の声優さんが1人で全ての役をこなしている。

かなりの芸達者で、途中でトムや他のキャラクターの気持ちを歌にして披露する。

なかなか上手い。

 

子供達に何故このアニメが好きなのか聞いてみると、「バカバカしいから」だそうだ。

毎回、はちみつ付きいちごジャムパンをもらう為だけに生きているトムと愉快な仲間達のお話ではあるが、最後に手に入れた大好物を半分に分けて、仲間と一緒に食べるのが良い。

そして最後に必ずトムは思うのだ。

 

「まるまる1個と同じくらい、半分食べるのも美味しい」

 

少なくとも視聴者は、まるまる1個を食べるトムをまだ見た事がない。

いつも半分しか食べれないトムは、まるまる1個の味を知らないのだから、痩せ我慢でもしているのだろうかと批判する人もいるようだが、私は寧ろ、自分1人ではなく、友達と食べるから美味しいのだという事を言いたいのではないかと思う。

 

こちらでとてもお世話になった日本人女性がいて、彼女の家に遊びに行く度に、昼ご飯をご馳走してくれた。そしていつも言われるのだ。

「貴女と食べるから、とても美味しい」

と。

 

1人で食べるより、誰かと一緒に食べる料理の方が、ずっと楽しく美味しく感じるものだ。

トムはそれを子供達に伝えたいのかもしれない。