ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

少しずつ前進

 

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本当は優しいんだよね

さて翌日、小児科病棟管轄の社会福祉事務所の所長と8時半に面談があった。

外では一体何人の子供達が、本当の虐待の被害に遭っているのか。そっちを助けてあげた方が良いのではないか。100人中100人の一般人が見てもおかしいと思う事が、社会福祉事務所とか行政では平気で行われる国らしい。

そしてこれは負け戦だとも。

一度組み込まれたシステムを払拭するには家庭訪問を受け、身の潔白を証明した方が良いとも。

その前に、一連の社会福祉事務所の所長には、前にもらった手紙の内容で、どうとでも取れるような書き方をしている箇所を、文書で明快に説明するように促す。

その為に、彼女は専門医と私達とでこの所長の元に赴き、話し合いをすると約束してくれた。

私達の気持ちは一貫して変わらない。

この所長の元では信頼できないから、家庭訪問はしたくない。1万歩譲ってそれをするとしても、こちらの病院管轄の社会福祉事務所から来てもらう方がまだマシだ。

この所長さんが本当に早く電話をしたようで、10日後に問題の社会福祉事務所の所長、専門医と彼女、そして私達で病院で会うようになった。専門医の提案で、療育園にも連絡するようになった。

 

療育園の担任から連絡帳に記載があった。

今迄何も書いて来なかったので立腹していたが、まあ、あちらも申し訳ないという気持ちと、どうして良いか分からない気持ちがあるのだろう。それで書けなかったのだとは思う。当然、謝らない民族のドイツ人なので、謝罪の言葉はなかったが、それでもこちらを心配する気持ちがあるのは、文面から見て取れた。

指先療法のセラピストと会った際に

「貴方達の事は言わずに、一般的にこの法律がどういう意味を持つのか聞いてみる。もし何か分かったら知らせる」

と言っていて、彼女は私達の話をしたのかどうかは知らないが、いずれにせよ、担任の耳にもしっかり入ったようだ。

それと並行して、私達は病院管轄の社会福祉事務所の所長と会い、専門医の提案で療育園にも、この日に問題の社会福祉事務所の所長と会うのを知らせているので、何処からでもオープンに情報が入ってはきていると思う。

そしてそれは良い事だと私は思っている。誰のせいでこんな事になっているのか、そう考えると、当の本人達が知らずにのうのうとしているのは許せれない。

セラピストは、私達との話し合いに良い印象を持ったらしい。

この担任と園長が話し合いに来るかどうかは知らないが、とにかく、私達が自分達のせいで未だに苦しんでいる事を知って反省してもらいたい。

 

その夜、倅がドイツの子供ニュース番組を一緒に見ようと言ってきた。

「だって僕達はワンチームだから、いつも一緒にいないと駄目なんだ」

そんな風に言われた。なので、私は普段滅多に見ないけど、今回だけは早々に仕事を切り上げ、子供達と3人でテレビの前に座った。

やっぱり感じてるのかな。。。色々な事。。

この一件があって以来、私はよく泣くようになった。子供の前で泣いてはいけないのだろうが、どうしても泣けてくるのだ。

社会福祉事務所の所長に、反抗すれば、力尽くで子供と離すと言われた時、倅だけでなく、娘まで何かあった時、例えば、習い事で過って痣を作ってしまったり、下校中に誤ってこけてしまい怪我をした時も、もしかしたら虐待だと疑われ、離されてしまうのかと思った瞬間に、どうしてよいのか分からなくなり、涙しか出なかった。 

 

そういえば、娘がまだ小さかった頃、幼稚園で着替えを手伝ってもらっていた時、蒙古斑を見た保育士が虐待を疑った。そして迎えに来た私に遠慮がちに質問したのを思い出した。ドイツには蒙古斑を持って生まれてくる子供はいない。アジア系の子供やアジアの血が入っている子供には、蒙古斑がついて生まれてくる子供もいる。

つまり、蒙古斑ですら、知らないと虐待だと思われるのだ。

幸いにして、説明した事で納得してもらえたが(後日、ネットから拾って来た蒙古斑に関する資料をコピーして渡した)、人によっては納得しないのだから気をつけねばならない。

 

フィングステンというドイツの休暇が6月にあり、学校は休みだが療育園は休みではなかったので、倅は登園した。その頃から少しだけブームになっているのは、私の妹が日本から送ってくれたチャイナ服を着て、ベルトに玩具の日本刀をさし、自分で作った「悪者」を倒すという寸劇?だ。

倅ちゃんマンという正義の味方になり、悪者も本人が服と靴、手袋と帽子とお面で作る。

因みに私が被害者とこの悪者の声の担当だ。

時々娘も参戦するが、邪魔をするだけなので、余り役に立たない。

何度もシチュエーションを変えてやるが、基本は皆同じ。でもこれで本人が納得するならそれも良し。