今週のお題「一気読みした漫画」
私の腐女子歴というのは、結構長い。
中1の時、コミケに行きヤオイ(ヤマなしオチなし意味なし な作品の事)という言葉を知り、当時同人誌界で人気を博していた『キャプテン翼』のヤオイ本を手にしたのがキッカケだ。
その後、当時刊行していた美少年愛をモチーフにした小説雑誌『ジュネ』を妹と2人で協力して購読し、あちら系の文庫本なんかも読み漁り、カセットジュネを買って拝聴していた。
下手糞ながら、自分でも小説を書いてみたりした。
いやはや、懐かしい。
さてジュネといえば、栗本薫、竹宮惠子と萩尾望都だった。
小説といえば、栗本薫。
そして漫画といえば、自分の中では竹宮惠子の『風と木の歌』、萩尾望都の『トーマの心臓』が金字塔だった。
私と妹は、ジュネでこれらの名作を知ったが、事情あって、当時は購入する所までは至らなかった。
中学3年の受験勉強真っ只中、当時仲が良かったクラスメートの女子の1人が『風と木の歌』の全巻を持っていると知り、貸してもらえるか尋ねてみた。
答えは「YES」
但し条件付きである。
「一晩で読むなら貸してあげる」
何故ならば、『風と木の歌』は彼女にとっては聖域であり宝物だからだった。
その気持ちは痛いほど分かる。
それで勿論、一気読みしましたとも。
『風と木の歌』は全17巻ある。
それを受験期の糞忙しい時に勉強そっちのけで読んだ。
空が白ずんで来た時は、私の頭の中は、英単語の代わりにジルベールとセルジュでいっぱいになっていた。耽美な絵とドラマチックな展開で、自分でも収拾がつかないくらい、2人の恋の逃避行に酔いしれた。
暫くは風木がマイブームになっていたのは言うまでもない。
それくらい、とてつもない影響力を持っていた。
数年後、妹が古本屋で『風と木の歌』の全巻を購入して、私が結婚をして家を出るまではいつでも読めれるようになったが、一気読みの時に得た衝撃と感動は今でも忘れられない。
人生には、こんな事をしている場合じゃないと頭では分かっていても、絶対に今やらないといけないんだという理屈じゃないものがあるのだと、その時に初めて知った。
あの時は、どうしても『風と木の歌』を読まないといけなかった。
別に貸してくれた友達がそんな条件を出さなくても、きっと一気読みをしていただろう。
因みに萩尾望都の『トーマの心臓』は私の聖域となっている。
こちらは一気に駆け抜けるような読み方ではなく、じっくりゆっくり考察をしながら、今でも時々手に取って読んでいる。