ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

疑問

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視覚優位の倅の為にやって効果があった療育

 

ドイツでも御多分に漏れず、小学校に上がる前に、就学前診断というものがある。

医師が幼稚園に来てやってくれる場合もあれば、自分達で期間内に申し込んで、それ専門の場所に行って発達診断を行うのだ。

それと並行して、1~2月頃に幼稚園で倅の今後についての話し合いが、園長と担任保育士と親とで行われた。

通常ドイツの都市部にある幼稚園は、1クラス25人程の園児を保育士免許を持っている先生と補助の先生がタッグを組んで育児にあたっている。

療育園は約10人の園児を先生が2~3人で見て、発達の遅れがある子供の手助けをしながら、就学に備えるのだ。

4歳半迄、言葉をエコーのように復唱していた倅は、この療育園に4歳から訪れている。

1年毎に担任が代わり、転園をする子供も多かった。倅は1年長くここに入ったが、直ぐに友達ができたのもあり、この療育園を卒園して、普通の小学校に通わせてあげたいと願っていた。

 

担任保育士は

「小学校に入学する時も必ず加配をつけてほしい」

と懇願する。それほどまでに手を焼いているという。

この人は倅を療育園に戻す条件として、加配をつけてほしいと言っていたらしい。そして彼女の念願通り、加配が付いて3か月程は至って平和だったようだ。

倅君は癇癪を起さなくなった、落ち着いてきたと褒めてもらえ、私達は安堵したものだ。

これなら小学校に上がる時には、加配は必要ではなくなるのではないかとすら思った。

 

しかし面談の少し前から雲行きが怪しくなってきた。

実際加配をつけても大して役に立っているようには見えなくなっていた。

癇癪を起してもクールダウンで外に連れ出す事は余りされておらず、それどころか、加配の先生が不在の時も多いという。そして、何度も「手に負えないから、お母さんが倅君を説得してくれないか。無理なら、迎えに来てほしい」と電話してきていた。

更に、倅だけでなく、加配の先生は他の子供の世話もしているようだった。

療育園では再三面談があり、その都度、私は赴いた。

それで色々聞くのだが、この担任保育士が責任者になってから、室内が『普通の幼稚園』のように様変わりしたのが気になった。

同じ場所で言葉のセラピーと指先のセラピーも受けているが、言葉のセラピストとの方が、療育に関する観点から情報交換がしやすかった。

 

面談では、園長からヤンワリと家で日本語を余分に習わせているのが、倅にとって負担になっているのではないか?とも言われた。しかし倅の様子を見ていると、当時はドイツ語よりも日本語の方が強く、好んで習っていたのもあり、負担になっているようには見えなかった。

小学校でも加配を付けた方が良いと言われた事を夫に話すと

「その道の専門家にやれと言われてやらなくて、問題が起きて結局付ける羽目になったというよりは、始めからやってみて、実は必要ないなら、翌年から外すようにした方が良いかも」

と言葉を選びながら、このような答えが返ってきた。

 

それで市の社会福祉事務所に療育園の園長と担任保育士、倅と夫と私とで面談、申請する事にした。

正直言って、加配を付ける事に関して疑問はあった。

本当にそこまで倅は落ち着きがなく、授業中も立ち歩いたり聞き分けがなかったりするのだろうか。

倅は姉と共に週末に日本語補習校で日本語を習っているのだが、そこでは殆ど問題がないようだ。更に小児科病棟の専門医も必要ないと断言していたのではないか。

でもやはり、「療育の専門家」が言うのだから、間違いないのかな・・・

 

申請時の面談では、倅の普段の様子を事細かに聞かれた。

それに夫が手際よく答えていく。

「学校よりも、寧ろ社会性を必要とする学童の方に不安がある」

として、同じように療育系の学童も視野に入れて話し合われた。

 

社会福祉事務所での時間は結構長かったが、別室で倅は玩具で遊びながら、一人で時間を潰していたらしい。その内同じくらいの少年が入ってきて、その子と遊びだした。私達が迎えに行く頃には、すっかり仲良くなったようだった。