ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

孫は精神安定剤。

7月末、日本への一時帰国直前の母からのフェイスタイムで、泥棒が入り、現金が盗まれたので警察がやって来たと知らせが来た。

フェイスタイムで若い警官と話をして、泥棒が入った形跡がない。もしかすると、色々買っているのを忘れているだけではないか。このような買い方をすると、その内、生活が困窮するかもしれないから、注意深く見てあげてほしいと言われた。

 

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母の希望で関西地方に住んでいる妹には、母が話すまで私からは切り出す事はしなかったが、結局、合鍵を作った事で妹に本人から直接話したようだった。

それで妹が直ぐに私に電話をかけて、そのままLINEで経緯を説明した。帰国前日の話だった。

「ここは、私等でもう1回探すべきだと思う」

と妹が言うので、関西空港で合流して、その翌日には義弟の車で実家入りし、帰国早々、2人で家中を探して回った。

その間、私の子供等は名探偵さながらな義弟と母の会話を聞きながら、うたた寝をしていたらしい。

そして結局、盗まれたと大騒ぎをした現金は、全く予期せぬ場所からそっくりそのまま見つかった。

それが母にとっては少なからずショックだったようで、歩いて3分の場所にある主治医の元へ行き、自分が認知症ではないかと話したようだった。

主治医は検査をしてくれ、

「認知症ではないよ。でもそんなに不安なら、認知症を遅らせる薬を半錠飲むように処方します」

と言った。

 

医師には認知症ではないと言われたが、年相応の物忘れだとは言い難い違和感も、一緒に暮らしているとあるもので、丁度年末辺りに足を骨折したり、昨年は緑内障を患い、要支援2となってケアマネージャーや掃除のヘルプを利用しているのもあり、ケアマネージャーに話して、9月から早速デイサービスを週2で受ける事に決まった。

その間も妹と連携を取って報告して、今後の母の事、家の事を話し合った。母の一件がなければ、ここまで頻繁に話をしなかったであろう。

そしてまた、私が日本に帰国する直前に起こったからこそ、母の異変に気付けたのかもしれない。そう考えると、これもまた、人間万事塞翁が馬となる。

 

さて、そんな母を、夏休み中に毎晩、倅は按摩してあげていた。

その揉み加減が心地良いそうで、倅の按摩で気持ち良く熟睡ができた。

そして上記の事件から2週間後くらいから、元の母に戻ったように振る舞い始めた。

恐らく、処方された薬と倅や娘との生活が精神に安定をもたらしているのだと思う。子供等も祖母が大好きで、よく皆で大笑いしたり、軽口を叩いても直ぐに仲良く戯れ合っている。

本当に以前からずっと一緒に暮らしているみたいな感じだ。

こんなに症状が回復しているのなら、本当はデイサービスは必要ないだろうかとすら思ってしまうが、いやいや、心配なのは私達がいなくなる9月からであって、今ではないんだよと言い聞かせた。

 

そんな母のデイサービス初日は、とても楽しかったようだ。私達がドイツに発って翌日の事だ。

元々絵が上手な母はデイサービスでも描いたようで、優しい水彩の色合いで花の絵がとても上手く描けていた。

きっと私達がいなくなっても、寂しがる時間もないだろう。1人でいると、どうしてもテレビばかり観てしまい、そこまで必要ではない物をついついテレフォンショッピングで買ってしまっていたようだが、そういうのも、その内に興味がなくなっていくかもしれない。

 

母は友達に、「孫は精神安定剤」と話していたようだ。

そんな風に思ってくれて嬉しい。

9月4日、娘が別れ際に

「ドイツではいつもハグをして愛情表現をするんだよ」

と言って、倅と一緒になって母にハグをしていた。

日本人は、というか、私達の世代くらいまでは、親子でも余り触れ合う事はないのではないか。私が自分の子供達と頻繁にハグをしているのを見て、母はとても驚き呆れていたが、孫から沢山の抱擁と「婆ちゃん、大好き❤️」と言われ、満更でもなさそうだった。