ドイツは第二次世界大戦中に空襲があり、今でも時々不発弾が見つかる。
その度に住民達は大急ぎで避難し、取り除き作業が終わるまでは家に帰れない。
ある時、夜遅くに不発弾の取り除き作業があるから、すぐに避難してほしいとの知らせがインターフォン越しにあり、知人は
「悪戯も大概にしろ!今すぐに消えないなら、警察を呼ぶぞ!!」
と叫んだら、
「その警察です。信じて下さい。現在、他の住民は皆避難されていて、奥さん1人、ここにいる状態です。速やかに作業に取り掛かりたいので、どうかここを開けて、外に出て下さい」
と及び腰の声が聞こえてきた。
どうやらテレビやラジオで呼びかけたのを見たり聴いたりした住民達は、全員、避難したそうだが、知人だけは、自分の区域ではなく、他の場所だろうと思い込んでいたらしい。
それで警察がやって来て、避難を促したら、悪戯だと勘違いしてしまったそうだ。
その後は、身一つで救急車に乗せられ、病院に運ばれたそうだ。
取り除き作業が終わるまで、他の避難住民と共に、とても丁重な扱いを受け、その後はまた自宅まで乗せて行ってもらえたらしい。
「お礼を言ったら、向こうからも感謝の言葉を返ってきたわよ♪」
結局、不発弾は何事も起こらず、無事に取り除かれたが、中には小学校の真下に埋まっていたものもあったりするので、全く油断ならない。
実際に不発弾が爆発し、数人が負傷した事件もあった。
何十年経っても、戦争の痕跡は未だにある。
戦争の被害者は、いつの世も民衆だと思う。