ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

木にまつわる話。

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落葉樹(楢の木)



 

ドイツにはそこかしこに自然があり、それは常に人の目に優しい。

 

夫は旧東ドイツ出身だが、個人的に言って、旧東ドイツ人のメンタリテイの方が日本人に合っている気がする。

特に、団塊の世代とうちの夫とは気が合いそうだ。

もし父が生きていたら、絶対に仲が良かったと思う。

私の祖父と夫はとても仲が良かった。

祖父はコテコテの御国言葉で当時留学生だった夫に話しかけていたが、言葉以上に心が通じ合っていたようだ。

 

ある時、祖父は夫に

「戦争があったら、また一緒に戦おう」

と言ったらしい。私には祖父は

「夫君がドイツ人だから結婚を許したんだ」

と言った事もある。

温和な祖父がそんな事を言うのが意外だった。

大正から昭和、そして平成を生き抜いた祖父にとって、ドイツという国そのものが信頼に値する戦友のようだった。

 

ところで義母が住んでいる団地にも沢山の木が植えられている。

団地には現在も義母と同世代の方々が住んでいるが、多くは他界したり、引っ越したりして、義母と親しかった人は数少なくなっているらしい。

 

まだ義両親が若かった頃の話だ。

ある時、1本の木が寿命で折れてしまった。

暫くはさら地のように整備されていたが、やがてそこに小さな苗木が植えられたそうだ。

それが写真の楢の木で、実はこの木の真前にはバルコニーがいくつかあり、そこに住んでいる夫と同世代の男性が、一緒に住んでいる母親の為に植えたものだったそうだ。

母親は老衰で他界されたそうだが、この木も彼もずっと同じ場所にいる。

 

ドイツでは、自分の所有の庭に木を植える習慣があるようだ。

昔は子供を出産したら、胎盤を庭に埋め、そこに林檎の木を植えた。

そうして我が子と木の成長を重ねていたらしい。

ミュンヘンに住んでいる日本人の知人は、自分の家の庭に、日本の梨の木を植えていた。

大きくて丸い立派な梨の実を、時々くれる。

私もいつか木を植えたい。

ドイツでも日本の桜の苗木が売られているので、それを植えたい。