日本にはお歳暮という習慣がある。
ドイツにも似たようなものがあるのか、師走の時期に、友達から手作りジャムやリキュールが贈られる事がある。
夫はこの時期は必ずシュトレンを買って、お世話になった人達に贈っている。私も日本の家族や親戚に毎年送っている。
シュトレンは、クリスマスが始まる前のアドベンドから食べるお菓子だ。
沢山のドライフルーツが入っていて、しかもずっしりとした生地で重たい。シュトレンが生まれた地域では、これをイースターまで食べ続けていたというから驚きだ。
クリスマス前に食べるシュトレンは、また中身が少し変わっている。
それぞれの家でレシピがあり、それを毎年家で作ったり、職人さんのところに持っていって作ってもらったりしたらしい。食べられる時期からなんとなく、日本のおせち料理を彷彿とさせるが、おせちの意味合いとはまた違う。シュトレンは14世紀に司教に贈ったものが発端とされる。
さて今年も大きな箱2個分のシュトレンが届いた。
狭い我が家が更に狭くなった。
しかし今年はそんな事に悲観はしない。
箱を中央に置いたら、その周りを踊れるんじゃないか!
というわけで、子供達と3人でインデイアンの祈りの儀式ごっこをして遊んでしまった。
お向かいの家の人が、偶然見ていたら、あそこのアジア人は何をやっとるんじゃと怪しむかもしれないが、そんな事は知ったこっちゃない。
余談だが。
シュトレンはザクセン州ドレスデンが産地とされているが、このザクセン州で生まれた人気作家にカール・マイがいる。
彼は冒険小説でアメリカの開拓時代、つまりはインデイアンの物語を書き、人気を博した。彼の作品は映画化され、これがかなり流行した。今でも野外舞台で演じられている。夫は全巻を揃えている。
貧困で育ったというカール・マイだが、彼もシュトレンを食べたのだろうか。
今では贅沢な食べ物の1つとなっているが、各家庭で作られていたシュトレンに想いを馳せてみるのも悪くない。