ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

良い外国人と悪い外国人

夫は博士課程所得の為、日本に留学をしていた。もう20年以上前の事である。

その時の恩師の一人に、表題の通りの事を言われたらしい。つまり

「日本には良い外国人と悪い外国人の二通りしかいない。中間はないのだ」

と。

日本人は君達の行動や言動で、君達の国をイメージするのだ。とも言われたらしい。

海外に出た経験がなく、まだ若かった当時の私は、夫からこの言葉を聞かされた時、彼の恩師の言葉の本当の意味を理解していなかった。しかし結婚してドイツに住むようになり、解るようになってきた。

 

ドイツには移民や難民が多い。

デユッセルドルフにはリトルトーキョーと呼ばれる日本人のコミュニテイがある。戦後、炭鉱夫としてやってきた日本人が住み着き、それから日本企業の進出があり、そこから発展した。

炭鉱夫として来ていたのは日本人ばかりではない。

イタリアやギリシャ、トルコからも来ていた。

日本人が炭鉱夫として来る条件の一つとして、最低学歴が高校卒業であったのも興味深い。数年後、任期を終えた彼等のうち10人余りがドイツに残り、あとは皆日本に帰って行った。滞在条件は、現地のドイツ女性と結婚するか大学進学か、だったそうだが、1人を除いて、あとは全員現地の女性と結婚したそうだ。

日本人は勤勉だったから、ドイツ人には好印象だったのかもしれない。その時の名残ばかりではないだろうが、ドイツ人の日本人を見る目は少し違う。良い評価をしてくれる人が多い。後に続く自分も、できるだけ現地の人に迷惑をかけないようにしようと心がけている。そういう人が多いからか、こちらで日本人が大きな犯罪を犯した話は聞かない。

こちらの大学時代からの東欧出身の友達は、警察署で通訳の仕事を時々していて、貴女もやってみないかと言ってくれたが、

「日本人がここで犯罪を犯す事はないか」

と苦笑していた。

 

私は時々、移民や難民の人達にドイツ語を教えているが、その時もよく夫の恩師の言葉を思い出す。私の前に座っている多くの人達は、危険から逃れて命からがらドイツに来ている。その大多数が受け入れてくれたドイツに対して感謝しているが、少数の不満を持っている人達が、その不満を露わにする。それがそのまま 現地の人にとって、全ての難民や移民への偏見になってしまうのは残念ではある。

私もここでは「日本人という外国人」となる。

それを肝に銘じて、いつも生活している。

海外で生活を送るというのは、そういう事なんだろうなあと思うのである。