夏休みが始まった。
子供達もこの日を待ち侘びてはいたが、ダラダラ過ごすのではなく、できるだけ、いつものリズムを崩さないように心がけている。
その内の1つが、早寝早起きだ。
朝が早いドイツでは、涼しい午前中にアレコレできるのがありがたい。
倅と2人で、早朝に近所の川辺まで散歩に行った時の事。
トルコ系の婆様が1人で佇んでいた。
恐らく、誰か、もしくは車を待っているのだろう。そんな感じだった。
ドイツでは、面識があろうとなかろうと、気さくに挨拶を交わす。
つい、日本人の癖で会釈をしながら挨拶をすると、婆様も挨拶を返してくれた。
そのまま、通り過ぎようとすると、手招きをして、バックの中から取り出した小さなお菓子を2つくれた。
当然、倅は大喜びだ。
まさか、朝からこんな嬉しい事が起こるとは。やっぱり早起きは三文の徳だな。
「あの婆様は『大阪のおばちゃん』みたいだなあ」
と言った私に、不思議そうに聞いてくるので
「大阪のおばちゃんって、大抵、バックの中に飴やお菓子を持っていて、それを気さくに人にあげるイメージがある」
と話すと、
「きっと、あのお婆さんは、大阪に住んでいた事があるに違いない」
と妙に納得していた。
いやいやいやいや、それはないと思うよ。
でも、こちらに住んでいる人も、国籍問わず、特に年配の女性は、大抵バックに飴やお菓子を持っている。
そして小さな子供に、気さくにあげていたりするのを見かける。
実母とのフェイスタイムで、その話をすると
「年配の女性は、大体そうだね」
と笑っていた。
成程、どうやらこの現象は世界共通のようだ。
私も時々、飴やお菓子を持ち物の中に入れる事があるし、あげたいなあと思う時もある。
しかし、あげたら迷惑にならないかとか、ついそんな風に考えてしまって、結局、あげずに終わってしまう。
でも、ほんの少し勇気を出したら、小さな笑顔が返ってくるかもしれない。
別に物をあげる事が重要なのではない。
挨拶をする事。困っている人を助ける事。感謝する事。
そんな小さな行いから、お互いが幸せな気持ちでいられるのも素敵だよね。