ちりやま日記

ドイツで子育てのあれこれ、本やドラマや動画の感想等を綴っていきます。

通信ツールについて思う事。

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娘がギムナジウムに進学したので、彼女の希望でタブレットをプレゼントした。それで娘は自分のメールアドレスを持ちはしたものの、通信ツールはメールとsms(ショートメッセージサービス)のみだった。

娘自身も興味がなかったので、そこまでしなくても良いと思っていたみたいだ。

当時は娘ともう1人の女子以外は、全員スマホ所持者だったが、7年生が終わろうとする今は、娘のみが非スマホ保持者である。

 

夫は

「交流に支障をきたしてしまうのではないか。やっぱり買うべきだろうか」

と心配していたが、本人は気にしていないようだった。

 

翌年の林間学校では、5日間を6年生全員で過ごした。

夫と私は娘を送って行く際に、教師に「宿泊先に電話ボックスがあるか」質問した所、「勿論ありますよ」と答えたそうで、大量の小銭を娘に渡していた。

「1日に1回は電話してくるんだよ。できればドイツのお婆ちゃんにも電話してあげるんだよ云々」

と注文をいちいち出していた。

 

さて1日目、連絡なし。

夫は顔に苛々が出ていた。

「まあまあ。きっと楽しすぎて遊んでるんだよ」

電話ができないタイミングだってあるよと、娘をフォローしてみる。

 

2日目の朝になると、夫は更にイライラしていた。

「あんなに沢山小銭をあげたのに。電話をしてきてくれても良いじゃないか」

「まあまあ。便りがないのは良い便りって言うじゃない」

とフォロー。

 

2日目の夜に電話がかかってきた。

「お母さん、宿泊先に電話ボックスが撤去されててなくなってるから、電話ができなかったんだ。ごめん。これ、先生のスマホを借りてかけてるんだ」

 

なるほど。

まさか、撤去されていたとはね。

 

夫のイライラはようやく治ったようだ。

 

6年生の終わりにはコロナでオンライン授業を、任意だとしながら、ほぼ強制的に持つようになった。

バイエルン州は精力的に使い勝手が非常に悪いteamsを導入。そして、個別のアカウントが作られ、teams内でチャットができるようになった。

それでも娘の方からは、友達には余りコンタクトを取らない。

友達からチャットが来たら、それに返すくらいだ。

元々そういうタイプなのだろう。

 

オンライン授業中に退屈しのぎに、私にsmsを送ってきたり、自分の作品を見せる為に送ってくれる事もあるが、ハマっているわけではないようだ。

 

小学校でもギムナジウムでも、スマホを子供に持たせるにあたり、様々な問題点が指摘されている。私の地域では、定期的に警察官がやってきて、親の為に講習会を開いてくれる。

 

また、 ドイツではコロナ禍中にステイホームを余儀なくされた為に、孤独を感じる子供が多くなり、スクールカウンセラーは予約が多すぎてパンク状態の所もあるそうだ。大人に話を聞いてもらう前に、命を絶ってしまう子供もいる。

やっと通学できるようになった矢先に、反動なのか、学校で荒れる子供もちょくちょく見かける。

荒れる状態を見せる子供は、まだ良い方なのかもしれない。それによって親や学校が子供の抱えている問題に気付き、早急に対処する事ができるからだ。

 

通信ツールを使ってのコミュニケートは確かに便利ではあるが、それが全てうまくいっているわけではない。特に子供には如実に現れるようだ。

これからの社会は、こういった通信ツールを上手く使って、世界中の人達と更に交流を重ねていくようになっていくのだろう。

しかし今迄以上に、『人間らしさ』を育む事を忘れてしまわないようにしなければ、本末転倒だ。

家庭での見直し、学校との連携が更に必要となってくるのだろう。