義母と私の共通の趣味はボビンレース(Klöppeln)である。
ボビンレースは、織物の一種で、ボビンという糸巻きに糸を巻き、織り台に型紙をピンで固定して、両手で左右交差させ、その都度ピンで固定しながら織っていく。
平織、綾織り、重ね綾織りの3パターンを模様に従って、如何様にも織っていくのだ。
ボビンレースの歴史は古く、古代エジプトの遺跡から、糸が巻かれた状態のボビンやレースが見つかっている。
16世紀のボビンレースは、カーテンの縁取りや生地をつなぐブレードとして、女性が作っていた。なので、パターン化された見本が多くある。
16世紀末には、貴族の間で円形の襞襟が流行り、ボビンレースは印刷術の普及に伴い、欧州各地に広まっていった。
ドイツのボビンレースは16世紀にバーバラ・ウッドマンという女性がエアツケビルゲ地方で始めたとされる。
冬が長く厳しい地方は、こういった手工芸で生計を立てていたとも考えられる。
その内、花嫁修行の一環としてボビンレースの学校もできた。
彼女達はそこで、技術だけでなく、忍耐力も学んだという。
繊細な刺繍レースのようなものになると、夥しい数のピンとボビンを使う。
その為、平台のような織り台で作業を行なった。
義母の住んでいる地方だけでなく、ここバイエルンでも趣味としてボビンレースを習う事ができる。
15年程前に一度、義母が辞めてしまった時に、私は引き継いでボビンレースのコースに娘を出産するまで通った。
義母はブレードのような実用的な織物ではなく、壁や窓に掛けるような織物をよく作った。
彼女の作品は沢山の色を使い、カラフルなのが多い。
数年後、またボビンレースに復帰した時、イースター時期には地元のボビンレース博物館で多くの訪問客の前で披露していた。
私の母にもクリスマスに必ずボビンレースの作品を贈ってくれ、上の写真は、母に贈る最後の作品となる。
現在、郵送規制が厳しく、単品で送る事ができない為、もう少し荷物が増えたら一緒に送るつもりで、その時まで大切に保管している。
こちらは私が作ったボータイ。
半端ない数のピンとボビンを使うので、なんでも口に入れてしまう倅がいると、流石に今はできないとお休みしていたが、また落ち着いたら復活したいものだ。