制作 京都アニメーション
配給 松竹
封切り日 2019年9月6日
90分
この映画は美しい。
愛を知らずに育ち戦闘人形になった少女が、戦争で両手を失い、その後代筆屋である自動手記人形となって、沢山の人々の想いを手紙にする。
様々な形の愛の代筆をする主人公。
今回向かった先は、貧困から急に令嬢になった少女がいる女学校だ。
家庭教師として3ヶ月、この少女と寝起きを共にする。その内、気心が知れるようになり、少女は自分の生い立ちをヒロインに話すようになる。
少女には血の繋がっていない妹がいた。
この妹の安定した生活を保障してもらう為、令嬢になる決意をする。
血が繋がっていても親子ではない少女と父親。
血は繋がっていなくとも、世界の何処かで繋がっている姉と妹。
それを繋げるのはヒロインの「手紙」とそれを配達した郵便配達の思いだった。
映像も音楽も、そして演者一人一人が素晴らしい。
今回、特に唸ったのは、妹役を演じた悠木碧さんだ。
彼女は、こういう役を演じたらピカイチなんじゃないか。
幼い子供の役がとても上手い。しかも幼い故に上手く話せない、舌足らずな感じが非常によく出ている。
「ねえねの思い出は忘れてしまったけど、手紙は残っている」
という言葉が心に残る。
『ヴァイオレット・エヴァガーデン』は希望がある終わり方で、いつも静かな感動がある。
メールが主流になりつつある現代、せめて年賀状やクリスマスカードは手書きで書いてみるのも良いだろう。
遠方に離れている親や兄弟や、仲の良い友達の顔を思い浮かべながら書く。
手紙を送る相手が存在する喜びを思い出した。