ドイツでは『ハリーポッター』と同様に、定期的にテレビで放映される映画がある。
その名も『ロード・オブ・ザ・リング』だ。
この手のファンタジー映画が大好きな私としては、やっぱり観てしまう。
26日の夜は、『ロード・オブ・ザ・リング』の最終章となる『王の帰還』を家族で観た。
家族で観る為に、夫はわざわざ帰宅時間を早めてくれた。
普段、映画を観ない娘も、タブレットを操作しながら同席した。
私はウキウキしながら、甘いのと塩辛いの2種類のポップコーンを作った。
倅が時間を教えてくれる。
準備万端だ。
『ロード・オブ・ザ・リング』はJ・R・R・トールキンの小説『指輪物語』の映画化で、3部作となる。特に、最終章の『王の帰還』はアカデミー賞の11部門にノミネート、全てを受賞した輝かしい記録を持つ。
個人的にも、最終章が1番好きだったりする。
200分を超える大作ながら、長さが全く気にならないくらい、息もつかせぬ程の手に汗握るシーンの連続で、結末を知っていても存分に楽しめた。
私がドイツの大学にいた頃、民俗学の教授の部屋のドアにでかでかとエルフのレゴラスのポスターが貼られてあった。
ドア半分を閉めていた超アップのポスターを眺めながら、アップに耐え得る顔というのはこういう事かと、うっとりした思い出がある。
そんなレゴラスに軽口を叩きながらいつも一緒に闘ったドワーフのギムリとは名コンビで、どれだけ多く敵を倒したかを競ってみたりと、緊迫した戦闘シーンであってもコミカルな彩りを添えている。本来はエルフとドワーフは仲が悪いのだが、そんな2人が旅の中での共通の敵を倒す事で芽生える友情が熱い。
また話を追う毎に、一見役に立たないようなタイプのキャラクター達が、とても大きな役目を果たすようになってくる。
例えば、ホビットのフルド達と一緒に旅を続けて、途中ではぐれてしまったホビットの二人組ピピンとメリー。
彼等は仲良しで常に一緒に行動しているが、1人であっても、己が何を今するべきかを心得ている。時にそれは側から見ると不要な物に見えても、実は彼等の行動が後に大きな功績を生み出すのだ。
そして最後の最後で、指輪に取り込まれてしまったフルドを救うホビットのサム。
臆病でありながら圧倒的な善であるサムがいたからこそ、フルドも最後まで役目を果たせた。
サムのポジションって、ハリポタのネビルですよね。
イギリスの小説のステレオタイプなのだろうか。
またエルフと人間の禁じられた恋や、後に恋愛に発展するだろうと臭わせるシーンがあったりと、ラブロマンス要素が加わっているのも、視聴者としては展開が気になってしまうところだ。
ファンタジー物特有の、前設定を知らないと「なんでこうなの?」となってしまう部分もなきにしもあらず。
原作未読であっても充分楽しめるが、原作を読んでいたら、もっと面白いんだろうなと思う。