我が家は毎年お歳暮として、親しい人やお世話になった人にお菓子を贈るのだが、今年は新居引っ越しもあり、『引越し蕎麦』ならぬ『引っ越し歳暮』として、隣人に持っていった。
1番近い隣人は2家族で、イタリア人一家とドイツ人一家となる。
イタリア人一家では、小さな老犬がいて、もう可愛すぎる。
きっと皆さんのご想像通りの、底抜けに明るいイタリア人のご主人が迎えてくれた。
どうやらご主人の親戚が別の地域から遊びに来ていて、その人達とも一緒に少しの時間だけ話をした。
冗談がとても上手く、涙が出るくらい大笑いしてしまった。
こんなに笑ったのは久々である。
私達の毎週末の昼ご飯は、子供達の熱い要望で、スパゲテイやピザとなると話すと大喜びしていた。
「倅君が毎朝イタリア語で挨拶をしてくれるんだよ」と嬉しそうに話してくれた。
途中で奥さんにイタリア語で早口で話したりと忙しい。
エスプレッソをご馳走になって、そのお宅を後にした。
突然の訪問で申し訳なかったが、そんな事には全く動じない彼等の懐の広さに感嘆した。
ドイツ人の隣人の方は、ドア越しで少し話した。
奥さんのみが出てこられ(他の家族は外出していた)、掃除中だったようで、やっぱりアポイントメントを取るべきだったなと反省。
自分達が騒音を立てていないか、とても気にしていたので、大変静かですよと話したら安心されたようだった。
却って、我が家の方が騒音があるでしょうと話したら、私達が住んでいるのが分からないくらい静かだと言っていたので、要するに近所迷惑にはなっていないようで、こちらも安心した。
そして糞害に関しては、同じように頭を悩ませているようだった。
時々、こちらの息子さんを見かけますよ。雪かきもしていて偉いですね。うちの子にもさせなくっちゃって思いましたと話したら喜んでいた。
彼女の息子は、うちの娘と同じ年で、別のギムナジウムに通っている。
また情報交換ができたら良いなと思った。
先週には倅の前に通っていた小学校にも、夫と倅がお歳暮を持っていって、校長先生が玄関口で受け取って下さったようだし、無事に届いたよと電話してくれた人もいて、久し振りに声が聞けた。
昔、夫が日本に留学していた頃、アルバイトでドイツ語講師をしていた時に知り合った高齢の生徒がいた。
夫が約20年ぶりに日本の地を再び踏んだのが2年前の夏、その方との再会も果たした。
当時100歳(!)だった彼は、娘さんと息子さんに連き添われ、最寄りの駅近くの喫茶店まで来てくれた。もう随分意識が朦朧としていたようだったが、私からの電話でシャキッとして、度々訪問して世話をしにくる娘さんにも、私達の話をしたらしい。
娘さんが心配して電話をしてくれ、その後は彼女の提案通りに喫茶店で会う流れとなった。
その年の秋に他界されたが、最後の最期に夫は彼と再会できて良かったと思う。
生徒さんが亡くなるまで、私達はお歳暮をドイツから送った。
ドイツ語で夫宛に、そして日本語で私宛にお礼の手紙を書いて送ってくれた筆まめな方だった。
日本の母は、ドイツからのお歳暮を楽しみにしている。
日本の親戚の分も一緒に送るので、結構な量になるし、航空便は高いからしなくても良いと言ってはくれるが、毎年一回だけの事だからと、ドイツに来てから毎年送っている。
母の友達で、ドイツのお菓子が好きな人がいるようで、
「最近は日本でも、ドイツのお菓子を作る洋菓子店があるが、本場のが1番美味しい」
と言ってくれるそうだ。
規制が敷かれる直前だったからギリギリ間に合ったようで、無事届いたと報告をもらった。
この状況では、来年も夏に帰国は無理かもしれないが、母には元気でいてもらいたいものだ。