その日は典型的なドイツの夕食にした。
ドイツでは、温かく重い料理は昼食となり、朝と晩は冷たく簡素な料理となる。
ドイツには1500種類以上のソーセージがあると言われているそうで、ドイツといえば、ビールとソーセージを彷彿とさせる人も多いのではないか。
妹が大昔に遊びにきた時に、お腹いっぱいソーセージを食べさせてあげようとして、夫がドイツ全国からソーセージを取り寄せた。
食べ方も色々あったりするが、日本では馴染みのないものも多く、妹は驚いて目を丸くしていた。
それでも同じように見えるソーセージも製造の仕方や地方の特色を生かしたものもあったりするので、一言ソーセージといっても奥が深い。
とは言っても、私なんかは、そこまでソーセージに拘りがあるわけではないので、お気に入りのソーセージというものはない。
娘や倅、そして夫は好物のソーセージがあるので、冷蔵庫には常にそれらが補充してあるのだ。
ある時、どれも大して変わらないでしょと言った私に対して
「お母さんの好きなアニメのAとBって似てる?」
と聞かれ、
「全然違う!」
と思わず答えた。
娘は満足そうに、
「それと同じだよ」
と言った。
なるほどな。
自分の好きなものに置き換えると、物事の見方が変わってくるものだな。
いや、頭では分かってはいるのだけどね。
なんの変哲ものない毎日だと、人はとかく忘れてしまいがちだ。
娘の言葉に気付かされる日常が多くなってきた。