思春期真っ只中の娘は、あまり素直でなくなってきた。
こちらで食べられるニシンのサワークリーム漬けはジャガイモを皮付きでゆがして、熱々のところをナイフを使って皮を剥き、それを添えて食べる。
夫が好きなので、義母宅に行くと、毎回それを1回は食べる事になる。
子供達も大好きで、私は義母と共に、皮を剥いてあげるのだ。
義母宅では、どうやらこれは女の仕事のようになっていて、夫は何もしない。義父が生きていた頃は、義父も何もせずに、義母からもらえる皮なしのジャガイモをずっと待っていた。
その内、椅子の位置関係もあって、誰も娘にジャガイモを剥いであげれなくなった。
いや、義母は娘に剥いであげれるけれど、自分の息子にあげるジャガイモの皮むきで忙しく、そこまで手が回らない。
それで義母が娘に
「自分でジャガイモを剥いだらどう?」
と促してみるが、娘はすまして
「皮付きのジャガイモの方が美味しいから、私は皮をつけたままで食べる」
と言って食べた。
ある日の昼食に、以前に義母宅と食べた魚料理を用意した。
皆を呼ぶ前に、家族全員分のジャガイモの皮を剥いで、あらかじめ皿に載せておいた。
「ほら、これで皮なしのジャガイモが食べれるよ。どっちが美味しいか食べ比べたらいいんじゃないの」
と言ってみた。
娘は少し驚いた顔をしたが、黙って食べた。
食後、
「まあ、皮なしも美味しかったよ。ごちそうさま」
とぶっきらぼうに言って、自分の部屋に行ってしまった。
素直じゃないなぁ。
でもまあ、いいか。
「しっかり者お姉ちゃん」を演じるのも疲れるよね。