2月24日は娘の13歳の誕生日だ。
私の子供達はドイツ名と日本名の2つを持っている。
ハーフではごく当たり前のようで、2つ以上名前を持っている人も沢山いる。娘のドイツ人の友達は3つくらい持っていて、その中の1つが通り名のようになっている。
大昔、語学学校に通っていた時のスペイン人のクラスメートは10個くらい名前があった。聞けば、祖父母の名前や親戚の名前も入っているらしい。
さて、娘の名前は、夫の亡き姉の名前がドイツ名となっている。この名前は非常に珍しい名前で更に難しい発音の為、日本人の私は恐らくちゃんと発音できていないと思う。
しかし夫はこの名前に拘った。
というのも、義姉は青春半ばにしてその命を落とし、それに絶望した両親を見てきた夫は心に誓ったのだ。
「もし僕が結婚して子供ができて、その子供が女の子なら、絶対にお姉ちゃんの名前をつける」
かくしてそれは真実となった。
お腹の中にいる赤ん坊が女の子だと分かった時、私は喜びと共に内心は複雑だった。
私は義姉の名前をつけるのには反対ではなかったが、とにかく呼びにくいので、多分ちゃんと呼べないと思う。
そして更に、若くして他界しなければならない運命だった彼女と同じ運命を辿らないか不安だった。
それと、珍しいが故に他の子供からからかわれないか。また、なまじ同じ名前だから義母が自分の娘と比較しないか、それも不安要素だった。
とにかく1番の懸念点は、この子が長生きするかということだった。
迷信だと笑われるかもしれないが、同名の人と同じ人生を辿る例もあるし、私はそういう迷信を信じてしまうので、どうしてもその不安を拭い去りたかった。
それであれこれ考え悩みながら、日本名を付けた。
ドイツ名も入ると画数はよく分からないので、それよりも名前の響きに着目してみた。
義姉の名前の最後の母音だと、どうしても沈んだ響きになってしまう。私が検索してみたサイトでは、名前の最後に母音が『I』で終わるものにすると、運気が上がるとあった。
それで元々妊娠中にお腹に呼んでいた名前を止めて、今の名前にした。
因みに、日本名は私の好きな言葉から取っている。
さて名は体を表すのか、娘は明るくて優しく育ち、しかも自己肯定感が恐ろしく高い。
幸にして友達に恵まれているので、名前で誰かにからかわれても、大して気にならないようだ。義母の意味不明な比較にも、全く動じない。
そのままの娘でいて欲しいものだ。
お誕生日おめでとう。